岩手県二戸市に工房を構え、活躍されている国画会準会員の染織作家谷田部郁子さんの2023国展出品作品です。タイトルは「水の旅」です。ご自身が大好きな水色が映える帯です。
「現在、紬糸は入手困難となっておりますが、その風合いを出すために私は、玉糸と生糸を特別に撚糸した糸を経と緯に使っています。生糸が蚕の吐き出す細い糸を丁寧に解いて取り出されたものに対し、紬糸は一本の糸を撚り合わせるのではなく、繭を広げ、そこから引き出して作られます。生糸で作られる織物が滑らかで、光沢があるのに対し、紬で作られる織物は素朴な風合いが特徴です。玉繭(2匹の蚕によって作られた繭)からつむぎだした糸で、フシが多いのが特徴です。私はあえて風合いを出すために、このフシのある糸を選んで使っています。この生糸と玉糸の合糸で素朴な風合いと、落ち着いた光沢のある織物を目指しています。」と、谷田部郁子さんは語っておられます。
幅36㎝ 長さ5m8㎝